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伝説の棋士
昔、「棋界のプリンス」と称され、絶大な人気を誇った真部一男(まなべかずお 本名:池田一男)という天才棋士(故人・九段)がいました。
デビュー直後の真部さんは、タイトルの大半を独占していた当時の最強棋士、中原 誠16世名人と互角以上に渡り合う戦績を残していました。

しかし、その類稀なる才能は誰もが認めるところでした。最盛期を過ぎた頃でさえ、NHK杯戦では史上最強の棋士とも目される羽生善治竜王を負かしています。
人気の秘密
真部さんの人気は天才的な強さだけに由来するものではありませんでした。端麗な容姿、ずば抜けたファッションセンス、全身から漂う気品、多芸多才、教養の深さ、作家顔負けの文章力などにも人々は魅了されました。
特にビジュアル的な魅力は申し分なしでした。私(佐々木)が今までに見たことのある男性の中で、これほど眉目秀麗な人はいないと断言できます。
若い女性にはたまらない魅力があるのでしょうが、どことなく軽薄な印象が拭い切れない人が多く、全世代から支持される容貌とは言い難い気がします。
その点、若い頃の真部さんは年齢不相応の落ち着きがあり、言葉遣い一つとっても、教養がアクセサリーとなっていて、ネックレスやブレスレットをちらつかせるだけでまともな日本語すら話せない近頃のイケメン男とは大違いでした。
日常会話の中で凡人が知らない風流な言葉が自然と出てくる真部さんの格好良さはあらゆる世代の尊敬を集めたものでした。
隠れたフィーバー
残念ながら、真部さんが55歳という若さで急逝されてからすでにかなりの歳月が流れているため、ネット上には若かりし頃の真部さんの画像がほとんど残っていません。
あることにはあるのですが、実物よりもかなり悪い写真映りとなっています。どなたかYouTubeにでも当時の真部さんの風貌を伝える動画をアップロードしていただけないものでしょうか。
のちに離婚してしまいましたが、草柳文恵さん(ニュースキャスター、元ミス東京)との結婚は記者会見まで開かれ、真部さんはワイドショーの主役にもなりました。
(故・草柳文恵さん)
最近の将棋界は藤井聡太七段や加藤一二三九段(ひふみん)らの大活躍でかつてないほど脚光を浴びていますが、真部さんが存命中の将棋界はそこそこに世間の注目を集めてはいたものの、今ほどには盛り上がっていませんでした。
棋士の結婚で記者会見が行われたのは真部さんのケースが初です。
真部さんは天才的なIQの高さ(たしか200前後)でも知られ、あるクイズ番組に出演した時の神がかった解答能力は(お若い方には通じない表現でしょうが)「クイズダービー」のはらたいらさんを彷彿させました。
現在の藤井フィーバーの前には羽生フィーバー(七冠達成)がありました。羽生フィーバーの前には谷川フィーバー(史上最年少名人)がありました。これらはマスコミが将棋界を過熱報道した三大フィーバーと言われていますが、実はその前にも真部フィーバーという隠れた歴史があったことを知る人は今ではそれほど多くありません。
男らしい逸話
真部さんは芯の強い人でした。
巣鴨高校在学中、デビュー前の真部さんは棋士の養成機関、奨励会で修行中の身でした。
真部さんは学校にも将棋の盤駒を持ち込み、休み時間や放課後には将棋の研究をしていました。棋士を目指している以上、将棋が生活の中心になるのは当たり前のことです。
ところが、アホな担任教師が「学校に不要なものを持ち込むな!」と怒鳴りつけ、盤も駒も没収してしまうという事件が起こりました。
その翌日、真部さんは担任に退学届けを叩きつけたのです。しかも、卒業間近に。腰を抜かした担任は「ふざけたことをしやがって」とでも思ったのでしょう。「これは一体どういうことなんだ!?」と激昂しましたが、高3の真部少年は涼しげな顔でこう言い放ったのです。
「俺は将棋を指すために生まれてきた男だ。我が命に等しい将棋を否定する学校に、これ以上在籍する価値はない」

真部さんの格好良さは将棋の強さやビジュアル面だけによるものではなく、実はこのようなプライドの高さにその本質があります。
リヴィエラ倶楽部
佐々木智親
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【2021. 10.23 追記】Wikipediaには「真部の大一番」という項目があり、最盛期の華々しい活躍を見ることができます。(準タイトルも含めて)タイトル挑戦者決定戦進出4回(いずれも敗退)、公式戦準優勝3回は悲運としか言いようがありません。本来であれば、少なくともタイトル獲得5期、優勝3回、A級在籍10年くらいの実績は余裕で残せたはずです。病に泣かされた生涯でした。

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